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2. 悟空の玉
ワンアヘッドシステムの最も堅実な表現形式。
3. ダイ・バーノンの手順
あらゆる手順の基礎になる技法が多く採用されています。正確に言うと、バーノン自身が20世紀初頭までに存在した「最高の技法」を組み合わせて手順化したものです。
4. 私案の3カップルーティン
エキストラボールを使わないカップ三個、ボール三個の手順です。マーロー、ケンブルック、チャーリーミラー、フレッドカップスなどの技法を転用して私なりに構成しました。
5. ネオクラシック2カップルーティン
デビッド・ウィリアムソンの手順をベースにしたスピーディーなルーティン。私自身、ホッピング~カウンターで年平均500回以上は演じ続けてきた、ほぼ万能の手順です。
6. チョップカップの基礎手順
7. US-Openの私案ルーティン
小さなテニスボールを使ったものですが、正規の手順を知らない状態で道具だけを渡されましたが、ほぼアドリブで構成した手順です。オリジナルの技法「air K」も紹介しています。
8. FANTASMA Chinese chop cupの私案ルーティン
これも売りネタですが、このマジックに関しては、マジシャンの隣に観客が座っている状態で演じられる、コメディータッチのルーティンに仕上げてみました。
9. Solid Cup Routine
高木重雄氏の古典的な手順が有名です。意外に演じられていません。
古くて新しいトリックです。
歴史に興味がある方は以下を参照してください。
「そんなものはどうでもよい」という方は飛ばして、映像をご覧ください。
エジプトのナイル川西岸のヘルモポリスの郊外にベニ・ハッサンという村があります。
ここには第12王朝以来の墳墓群があり、そこに有名な彩色洞窟壁画があります。
当時の人々の生活を描いたものとされますが、、、
その中のひとつの絵が特徴的で、マジックを演じる人ならば一度は必ずご覧になったことがあるでしょう。向かい合って座った2人の人が、4つのお椀のような器物を操っているようにも見えます。マジックの歴史研究家たちにより、長い間、『カップと玉を演じている絵ではないか』と言われてきました(エジプト学・歴史学者は否定するのが通説です)。
カップ&ボールの正確な起源がいつからなのかはわかりませんが、少なくとも、古代ギリシア・ローマ時代には、大道などで演じられていたことは間違いありません。
故高木重朗氏のマジックの歴史の本(原典はクリストファーやギブソンでしょう…)等にも書かれていますが、ラテン語で“奇術師”のことを、“アケタブラリウス(acetabularius)”、または“カルクラリウス(culcularius)”といいます。それぞれ「容器の使い手」、「小石の使い手」という意味です。
アケタブラリ…は、英語の「acceptable」→受容できる物→「容器」の語源になります。
カルクラリ…は、英語の「calculator」→計算機の語源です。何で「計算機」が「小石」と関係するのかというと、古代エジプト時代の算盤は、粘土板にくぼみを作って、その上に丸い小石を置いたものだったからです(ビーナスゲームに使うようなくぼみのある盤をイメージしてください)。
それで計算に使う物といえば「丸い小石」になるわけです。杯も小石もどちらも神聖(生命)と智慧の象徴だということにも、ここで気がつきますね。
奇術師が、智慧と生命の象徴である「容器と小石」を駆使し、よほど頻繁にカップと玉に類するマジックを演じていなければ、こんな「慣用代名詞」が生まれるはずがありません。
もし、奇術師たちがロープ切りばかりをしていたら、「ハサミ使い」、「ヒモ野郎」と言われたかもしれません (チャイナリングばかり演じていたら「輪男」、「つないだり外したりの輩」と言われていたかもしれません)。
アテネ生まれのアルキフロンは、「年代記」の中で、このマジックを見たときの衝撃について、次のように記録しました。「1人の男が出てきて、3脚のテーブルの上に1つの小皿を置いた。
その小皿の下に白い丸い小石を入れた。他の小皿にも1個ずつ小石を入れた。
そして、この小石を1つの皿の下に集めてしまった。どのようにやったかはまるでわからなかった…次に、彼は皿の下から小石を消失させ、自分の口から出して見せた。次に小石を全部飲みこんでしまい、見物人の1人に出てきてもらうと、小石を彼の鼻や耳から1つずつ出した。
さらに他の人の頭からも出した。最後はこれらの小石を全部見物人の前から消し去ってしまった。これを見て私は驚き、口もきけず、呆然とした…」
ローマのストア派哲学者であり、後に皇帝ネロの師の一人になったセネカ(2B.C.~65A.D.)が、友人の政治家ルキリウス()に送った書簡にも、カップと玉が引用されています。
「そんな言い訳は巧く引っかけられて楽しむカップと玉の手品のようなもので、無邪気に一杯食わすものである。しかし、そのトリックが分かってしまえば、私は興味を失ってしまうだろう」中世ヨーロッパで、カトリック教会が権威を確立すると、“魔女狩り(異端審問)”の嵐が吹き荒れました。
不思議なことを演じて見せる人間は魔女ではないかという疑いが掛けられて、拷問により自白を強要され、最後は火あぶりにされてしまいます。抑圧された閉鎖的社会ではスケープゴートが必要とされることもあるのでしょう。嫌われ者が魔女として密告されることも、支援を晴らす目的で密告する者も絶えなかったと言われます。魔女狩りが盛んだった頃、奇術師たちは昔から行われているマジックだけを演じ、斬新なマジックが開発されることはなかった…というのがマジックの歴史の通説になっています。
古来行われてきた「カップ&ボール」は、魔術でないことが社会的に認知されていたため、演じることが許されたという一つの解釈です。中世のカップ&ボールの資料がないので何とも言えませんが、このマジックが高度な技術的発展を見せるのは、近代以降、特にバルトロメオ・ボスコのような名人が現れるようになってからのこととされます。確かに、同時代人のウーダンの解説書などを見る限り、それまでの方法は実際にそれほど高度な物ではなかったようです。
第一次世界大戦以降の発展の過程はご存じの通りです。「ベニ・ハッサンの洞窟壁画」に話を戻します。私は、この洞窟壁画はカップと玉ではないと思っています。理由は以下のようなものです。
①「do as I do」式で演じない限りカップを向かい合った2人が一緒に操作することはない。
② カップにしては大き過ぎる。
③ 玉が描かれていない。
④ 2人がもちあげている2個の物体と、その下に置かれている2個の物体が、同じ形で、同じ大きさになっている。
⑤ 壁画に描かれている人物の社会的身分がどうみても低い労働者階級である(この時代のマジックの知識は神官などの知識階級に握られていたのではないか)。
⑥ 中王国時代の絵画の様式では、描かれている人物どうしが向かい合っているからといっても、常に対抗関係であるとは限らない(ゲーム説の否定)。
①②③に関しては異論もあるでしょう。史料がない以上、①のような演じ方を絶対にしていなかったとは言い切れませんし、②のように大きなカップを使ったマジックがあってもおかしくないからです。実際に、幕末ごろに出された日本の奇術書にも、路上に伏せておいたザルから犬を出す品玉の手順があります。③も初めは描かれていたが、経年劣化によって消えてしまったかもしれない。
⑤⑥は納得していただけるでしょう。科学と宗教が未分離だった古代社会では、マジックの知識は神官を初めとする知識階級や特権階級のものだったはずです。ベニ・ハッサンの壁画が書かれた時代は、ほぼ、ウェストカー・パピルスが作られた推定年代に一致します。
ウェストカー・パピルスに登場する魔術師を思い出してみましょう。蝋細工のおもちゃを本物のワニに換えたウバウネは王室の公務員でした。湖水を割って、貴族の落としたトルコ石の耳輪を湖底に立って拾ったジャジャマニフは神官です。クフ王の前で首切り術を演じたとされるデディは在野の人ですが、何でも知っている不死の賢者です。古代社会ではこういう知識階級の人がマジックを演じていたはずです。
また、洞窟壁画と言っても、原始人の落書きではありません。ベニ・ハッサンの洞窟壁画はあくまでも古代エジプトの貴族の墳墓群の壁画ですから、一定の様式やルールがあります。
横向きに、向かい合っている者は“対抗関係”を表していると解される事が多いそうです。
しかし、座っている場合は共同作業を意味する場合も少なくないようです。絵から判断する限り、身分は対等で、共同作業をしているように見えます。
④が決め手です。以上より、私は「奴隷(この時代の奴隷とは、全ての労働者階級のこと)がパンを焼いている光景」だと思います。これで、持ち上げたモノとその下に置かれているモノの大きさと形が同じであること、ボールが描かれていないこと、すべて矛盾なく説明できます。
学生時代に世界史を学んだとき、ギリシア人なのか、ローマ人なのか、よく覚えられなかったという方。そういう時は、名前の「末尾」を見ます。「ウス」で終わっていればローマ人です。「アス・イス・エス・オス」ならばギリシア人です。例えば、リキニウス、ヴェルギリウス、プリニウス等はローマでしょう。アリストテレス、エラトステネス等はギリシアです。
後は「山川出版の世界史用語集」などで確認してみてください。
ほぼ全部いけるはずです。例えば、カップ&ボールの使い手のことを、ギリシア語では「プセフォパイクテス(psephopaiktes)」と言います。「テス」は「エス


